1 弁護士になるためには、現在の制度では2つのルートがあります。一つは、法科大学院(ロースクール)を卒業して新司法試験に合格し、司法研修所を卒業するルート、もう一つは、予備試験に合格して新司法試験の受験資格を得て新司法試験に合格し、司法研修所を卒業するルートです。
2 しかし、かつての司法試験は、4年制大学の教養課程(大学2年までの講義です)で一定の単位を取得していれば、誰でも受けられる試験でした(この条件を満たしていない場合は、教養試験である一次試験に合格する必要がありました)。
大学で一定の単位を取得すれば誰でも受けられる試験でしたので、大学を卒業しても就職せず、アルバイト等をしながら司法試験の受験を継続する方が多くいました(法学部出身者に限らず、他学部出身の受験生も多くいました)。しかし、日本は就職について新卒一括採用が定着していますので、正社員として就職せず、アルバイト等をしながら司法試験の受験を継続することは、大きなリスクを伴う選択でした。
そのため、大学を計画留年し、例えば3回受けて合格しなければ就職するという方もいました(なお、旧司法試験は択一試験、論文試験、口述試験の3つから構成されていましたが、択一試験に合格しただけでもそのステータスは高く、就職活動で評価されていました)。
3 私も、卒業時に就職氷河期だったこともあり、就職せずに司法試験の受験を継続していましたので、大学を卒業して5年経った頃には今後どうなるのかと不安もありましたが(択一試験は得意で上位合格が続いていましたので、いずれ論文試験も合格するだろうと思い受験を継続していました)、合格者が増えたこともあり、旧司法試験にどうにか合格することができました。
4 司法試験合格者の増加に伴い弁護士数も増え、平均収入の低下により経済的魅力も薄れてきましたので、司法試験を誰でも受験しやすい制度に戻しても、受験者数は2004年頃のように5万人近くにはならないと思います。
ただ、社会や価値観はより多様化していますので、様々なバックグラウンドを持つ多くの方に法曹となっていただくことがより求められているのは間違いないと思います。