1 債務整理の相談の傾向
債務整理のご相談は、返済期限が迫ってきたけど返済に充てるための原資を確保できない、という方から多く受けますので、必然的に、弁護士等にすぐに相談したいという方も多くなります。
ただ、一般的に、法律相談をお受けするにあたっては、必要書類等のご準備をお願いすることも多く、これは、債務整理でも同様です。
とくに、個人再生では、住宅資金特別条項を利用できるかどうかという点や、最低弁済額がどの程度になるのかということをご相談の中で判断する必要があり、そのためには、ご相談者の方に必要な資料を持参していただく必要があります。
2 住宅資金特別条項についての資料
住宅資金特別上告(住宅ローン特則)を利用する個人再生の場合、借り入れた住宅ローンが住宅資金貸付債権に該当するかどうかを判断しなければなりません。
そのためには、住宅ローンについての金銭消費貸借契約書など住宅ローンに関する書類を確認する必要があります。
借り入れた住宅ローンの使途について、「住宅購入資金」の他に、例えば「返済」にもチェックがある場合は(自宅を買い換えた場合、新たな自宅を購入する借り入れた住宅ローンの一部が、前の自宅を購入した際に借り入れた住宅ローンの残額の返済に充てられていることがあります)、借り入れた住宅ローンが全体として住宅資金貸付債権に該当するかどうかを慎重に検討しなければなりません。
3 最低弁済額についての資料
最低弁済額について判断するためには、小規模個人再生の場合、①負債の総額と、②財産の総額を確認する必要があります。
①の負債の総額については、最近ではスマホ等ですぐに確認できることが多く、資料の準備にそれほど手間はかからないと思いますが、②の財産の総額については、退職金見込額(現時点で自己都合退職した場合に支払われる見込みの退職金の金額)に関する資料、加入している保険についての解約返戻金の金額についての資料、車や自宅について時価額がわかる資料(査定書)などが必要になることがありますので、資料の準備には少々時間がかかることもございます。
例えば、住宅資金特別条項を利用する手続きを利用する予定で、住宅ローンが2000万円、住宅ローン以外の負債が900万円の場合、自宅の査定額が3000万円だったとすると、自宅の価値は1000万円となりますので、個人再生手続きを行ったとしても、返済しなければならない負債は減額されないことになります。
個人再生のご相談を希望される方は、このような財産についての資料の収集にすぐに着手されるとよいかと思います。