破産管財手続では,破産手続開始から原則として手続終了までの間(原則と記載したのは,例えば債権者集会が複数回行われるケースでは,不要であれば第1回の債権者集会の終了をもって転送をストップすることもあるためです),破産者宛の郵便は破産管財人に転送されます。通常の郵便のほか,レターパックも転送されます。そのため,通信販売でCDや本を購入する際,配送方法がレターパックだと破産管財人に転送されてしまいます。また,ゆうメールは転送の対象外ですが,誤って転送されることもありますので注意が必要です。
転送されるのはあくまで破産者宛の郵便ですので,破産者の同居の家族宛の郵便は転送されません。同居の家族宛の郵便が間違って破産管財人に転送されても,破産管財人は封を開けてその内容物を確認することはできません。
破産者の郵便が破産管財人に転送されるのは,まず第一に,破産管財人が破産者の財産を調査できるようにするためです。破産管財人には弁護士が選任され,私も何件か担当したことがありますが,破産者の郵便の調査により,破産者が忘れて放置していた証券口座が見つかったことが何回かあります。そのため,弁護士に自己破産を依頼する際は,必ずすべての銀行口座,証券口座等を洗い出し,弁護士に申告してください。
ただ,今のようなネット社会では,金融機関等からの連絡はメールやウェブサイトのマイページで完結することも多くなっていますので,郵便物の調査のみでは不十分になってきているというのが実情です。私も,疑わしい事案では金融機関等に直接問い合わせて口座の有無を確認しています。
このように,郵便の転送の第一の目的は破産管財人による破産者の財産調査になりますが,免責不許可事由の調査でも役に立つことがあります。例えば,転送郵便でパチンコ店からのダイレクトメールが定期的に届くことがありますが,このようなダイレクトメールはパチンコ店で何らかの手続きをしないと届きませんので,破産者がパチンコをしていたという推測が働きます。パチンコや競馬などをした経験がある場合は,仮に借金とは関係ないとしても,自己破産を依頼する際に弁護士に申告するようにしてください。