過払金と相続

弁護士法人心 柏駅法律事務所の弁護士の白方です。

今年になって数件ほど,被相続人の遺産(相続財産)としての過払金の有無について,その調査の依頼を相続人の方から受けています。

調査といってもとくに難しい手続きが必要というわけではなく,被相続人がキャッシング(借り入れ)を行っていた貸金業者(消費者金融や信販会社)に対して,そのキャッシングについての取引履歴の送付を請求し,届いた取引履歴に記載されている取引内容を利息制限法所定の制限利率で引き直して計算すれば,過払金の金額が判明します。

貸金業者に対して取引履歴の送付を請求する際は,ひとまず請求者が被相続人の相続人であることを証明できれば十分です。もちろん,過払金の存在が判明し,業者に対してその返還を請求する際には,相続分の証明も必要です。

当法人柏駅法律事務所で調査の依頼を受任する場合は,ご相談の際に,戸籍や除籍等の書類で被相続人がお亡くなりになった年月日と,ご相談者の方が被相続人の相続人であることを確認させていただいております。なお,被相続人がキャッシングを行っていた業者との契約書等の書類やカードは不要です(残っていればご相談の際にご用意ください)。

なお,過払金返還請求権は金銭債権ですので,相続の発生により,相続人は法定相続分に応じた金額を当然に分割承継します。そのため,例えば法定相続分が2分の1の相続人は,単独で,業者に対し,遺産である過払金の2分の1の金額を請求することができます。

ただし,相続放棄をしてしまうと,当然ですが相続人として過払金の返還請求を行うことはできません。

相続人の方から被相続人の過払金について調査の依頼をいただく場合,被相続人の約定利率に基づく債務残高を相続人の方が全額返済しているケースが多いですが,相続人において返済が困難だという場合でも,相続放棄を進める前に,念のため,過払金返還請求を専門的に取り扱っている法律事務所に一度ご相談することをお勧めいたします。例えば,約定利率に基づく負債が100万円残っていたとしても,取引期間が相当長期である場合には,制限利率で引き直して計算すると多額の過払になっているというケースも相当数存在します。

当法人では,過払金返還請求を多数取り扱っておりますので,過払金の相続につきましてもお気軽にご相談いただければと思います。

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