法律相談について

1 弁護士が行っている法律相談は,法律に関係するトラブルに巻き込まれた方など,法律による対応が必要な方を対象として行っているものです。

例えば,離婚の場合,親権,養育費,慰謝料,財産分与などの離婚条件を決める必要があります。これらの条件は,まずは法律に則って検討しなければなりませんので,弁護士が行っている離婚相談の対象になります。

他方,配偶者から離婚を求められた方が,離婚を回避したい,という趣旨で法律相談を希望する場合,現時点で配偶者が離婚訴訟を提起した場合に判決で認められるかどうかを検討する,という点では法律の問題になりますが,離婚を回避したいという方のほとんどは,離婚訴訟を起こされた場合のことではなく,配偶者と仲良くする方法を知りたい,という趣旨で弁護士に法律相談を申し込んでいるのではないかと思います。

このような場合,仲良くする方法というのは事実上の問題で,法律で解決できる内容ではありません。このような内容の相談では,私は個人的な意見・感想を話したり,家庭裁判所の夫婦関係調整調停(円満調停)を説明するくらいのことしかできません。

2 法律相談は,法律に関係するトラブルに巻き込まれた方ご本人(当事者)を対象として行うものです。もちろん,刑事事件の法律相談で,ご本人が逮捕・勾留されている場合はご本人が弁護士事務所に来ることはできませんので,ご家族を対象として相談を行うことになります(その後,弁護士が警察署等でご本人と接見して事情を聴くことになります)。

しかし,離婚相談の場合,離婚の当事者ではなく,当事者のご両親(またはその一方)から相談の申し込みがあり,当事者は相談に来る予定(意思)はない,ということがあります。

当事者のご両親は,弁護士から説明を受けてそれを当事者に伝える,という趣旨で法律相談を申し込んでいることが多いですが,この場合,伝言ゲームの危険性があります。つまり,弁護士の説明をご両親が誤解して,または歪めて当事者に説明する危険があるということです。ご両親のみが相談を希望している場合,離婚について当事者である息子または娘と意見が対立していることがあり,そのようなケースでは,弁護士の説明が歪められて当事者に伝えられる危険が生じやすくなります。

また,離婚の条件等を検討するためには,当然ですが,当事者から具体的な事情を聴かなければなりません。

そのため,私が担当している離婚相談では,当事者が来所しないご相談は原則としてお断りしています。