個人の破産手続では、同時廃止で進めることが可能なのか、それとも管財事件になるのか、という点が一つのポイントとなります。
なぜなら、管財事件となると、管財人への引継予納金が必要となりますし、同時廃止事件と比べて弁護士費用も割高になるためです。
同時廃止で進めることが可能かまたは管財事件になるのかを区別する大きな基準は、財産の有無です。
例えば、現時点で自己都合退職した場合の退職金見込額が160万円を超える場合、その8分の1の金額は20万円を超えることになりますので、千葉地方裁判所およびその支部では管財事件として扱われることになります。
そのため、ご相談の際には、事前に退職金見込額の金額を確認していただくことが重要になります。
また、自動車を所有し、その時価額が20万円を超えている場合も管財事件となります。そして、千葉地方裁判所およびその支部では、私がこれまでに担当した案件を前提としますと、例えば初度登録から何年経過していれば価値がないものとみなす、というような取り扱いはしていないようですので、とくに中古価格が下がりにくいタイプの車両については、ご相談前に中古車販売店等の査定金額を確認していただく必要があります。
さらに、保険についても、解約返戻金見込額が20万円を超える場合は管財事件となります。保険についてとくに注意していただきたい点は、破産のご相談をするご本人ではなく、そのご両親や配偶者がご本人を契約者として保険に加入し、その保険料も支払っている場合、保険の存在そのものを知らないこともあります。
このような保険であっても、解約返戻金見込額が20万円を超えていれば、管財事件として取り扱われることになります(なお、複数の保険の解約返戻金見込額の合計金額が20万円を超える場合は、同様に管財事件となります)。
なお、親が勝手に契約名義を自分にして保険を契約し、その保険料も親が支払っており、自分はその保険の存在すら知らなかったのであるから、その保険は親のものではないか、と考える方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、保険がだれのものであるかを認定するためには調査が必要であり、その調査を行うのは破産管財人ですので、管財事件となるのは避けられないところです。
破産のご相談の際は、保険についてもあらかじめ確認してください。