破産・再生についての最新情報

1 予納金の値上げについて

自己破産や個人再生を行う場合,所定の事項が官報で公告されます。官報で公告を行う場合,所定の手数料(官報公告掲載料金)が必要となりますが,自己破産または個人再生を申し立てた場合,その手数料を裁判所に予納する必要があります。

この官報公告掲載料金ですが,平成31年4月から値上げされますので,それにあわせて裁判所に納付する予納金も値上げされます。

千葉県の東葛6市(柏市,松戸市,鎌ヶ谷市,野田市,流山市,我孫子市)を管轄する千葉地方裁判所松戸支部では,自己破産(同時廃止)の場合の予納金は,従来は1万584円でしたが,値上げにより1万1644円になります。

ちなみに,千葉地方裁判所松戸支部では,少額管財の引継予納金(管財人に引渡す現金)は現在のところ20万円ですが,これは,消費税が5%の頃と変わりません。

少額管財の引継予納金は基本的に管財人の報酬に充てられるものですが,仮に実費等一切かからず20万円すべてが管財人報酬になった場合,その20万円には消費税も含まれますので,税率が5%だとすると20万円のうち9523円が消費税となりますが,税率が8%ですと1万4814円が消費税となります。今後税率が10%に引き上げられた場合,引継予納金が20万円のまま据え置かれると,20万円のうち1万8181円が消費税となり,8%のときと比べて管財人の報酬は目減りすることとなります。

私は千葉地方裁判所松戸支部の破産管財人を引き受けていますので,管財人の立場からすると,消費税率の引き上げに合わせて引継予納金も引き上げてほしいと思うこともありますが,破産を申し立てる方の代理人の立場からしますと,予納金の準備が大変な方もいらっしゃいますので,このまま20万円で据え置いてほしいという気持ちもあります。

2 運用の変化について(千葉地方裁判所松戸支部)

千葉地方裁判所松戸支部では,平成30年4月の裁判官の異動により,破産,個人再生を担当する裁判官が交代しました。

そのため,以下の点で運用に変化が生じています。

⑴ 破産の債権者集会の所要時間

平成30年3月までは,債権者集会は通常5分程度で終了していましたが,現在の担当裁判官は,債権者集会で管財人や破産者の方に対し質問等を行うことが多く,所定の10分を超えることもまれではなくなっています。

そのため,開始予定時刻が10分から20分程度遅れることもあります。

⑵ 個人再生委員の選任

千葉地方裁判所松戸支部では,弁護士が代理人として個人再生の申立てを行う場合は,原則として個人再生委員は選任されませんが,近時,例外的に選任されるケースが増えているとの話があります。

個人再生委員が選任されると,費用(個人再生委員の報酬に充てられます)として20万円(住宅資金特別条項を利用する場合。利用しない場合は15万円です。)必要となりますので,注意が必要です。