インフレと弁護士費用

私は大学生のころから大戸屋の定食が大好きで、弁護士になった今でも時々食べに行っています。

注文するメニューはだいたい決まっていて、鯖の炭火焼定食か、すけそう鱈と野菜の黒酢あん定食です(以前は、すけそう鱈ではなく真鱈でした)。

鯖の炭火焼定食は、昨今のインフレで値上げされ、このブログを執筆している時点で税込み990円です。すけそう鱈と野菜の黒酢あん定食は税込みで1000円です。

しかし、ニューヨークの大戸屋で鯖の定食セットを注文する場合、その値段は30ドルになるようです。1ドル140円で日本円に換算しますと、4200円です。私は、日本国内で4200円もする定食を食べたことはありません。

物価が上がり、それにあわせて賃金も上げなければならないとなると、法律事務所の主な収入は案件について依頼者の方からいただく弁護士報酬になりますので、増える支出にあわせて報酬の金額も引き上げなければならなくなります。

日本司法支援センター(法テラス)では、収入や資産が一定金額以下の方を対象に、民事法律扶助を行っていますが、法テラスが規定する弁護士費用は全般的に低廉で、物価高に応じた値上げもすぐには行われないでしょうから、今後、法テラスの民事法律扶助を利用した案件に対応する弁護士は減少するのではないかと思われます(なお、国選弁護人の報酬も低廉ですので、国選弁護を引き受ける弁護士も減少するのではないかと思います。私は、個人的には既に民事法律扶助も国選弁護も引き受けていません)。

日本人は預金が大好きで、私も金融資産の70%超を預金で保有していますが、預金金利は雀の涙程度ですので、仮に1000万円の預金がある場合、物価が上がりインフレになれば、預金の額面に変化はありませんが、その価値は減少することになります。この1000万円が預金ではなく例えば1000万円の価値のある不動産であれば、基本的に、物価上昇に伴いその価値も上昇することになります。 日本は、異次元の金融緩和により市場に大量の円をばら撒き続けていますが、欧米は、金利の引き上げにより、金融緩和でばら撒いたユーロやドルを回収しています。このままですと、円の価値は下がり(市場のドルやユーロは減っているが、円は増え続けているからです)、超円安になることも予想されますので、今から、円の価値の下落に備えた資産を保有しておくとよいのではないかと思います。

自己破産の費用について

弁護士法人心では、個人破産の着手金を20万円~(税別)、個人再生の着手金を25万円~(税別)としています。なお、法律事務所によっては、例えば破産手続で免責が許可された場合に成功報酬金が発生する旨を委任契約書に規定しているケースもありますが、当法人では、個人破産手続または個人再生手続そのものについては、成功報酬は規定していません(過払金を回収した場合は回収額の一定割合の金額が成功報酬となります)。

「~」となっていると、いったいいくらになるのか不安に思っている方や、逆に、20万円や25万円という金額を見て(他の法律事務所と比較して)安く感じている方もいらっしゃいますので、今回は、私が個人の方の自己破産の着手金を決める際の基準について、その概要をご説明したいと思います。

なお、金額はすべて税別の金額となります。

まず、自己破産は、大まかに、同時廃止が相当であると思われる案件は25万円から35万円程度、管財手続が相当であると思われる案件については35万円から45万円程度を一応の枠として定めています。なお、夫婦同時に破産手続を行う場合は、配偶者の一方について最低金額である20万円でお受けすることがあります。

同時廃止が相当であると思われる案件とは、千葉地方裁判所が公表している同時廃止の財産基準を満たし、かつ、免責不許可事由もない(またはあっても軽微である)案件です。

ただし、事業者(会社代表者や個人事業者)の方や、過去に事業者だった方は、同時廃止の財産基準を満たし、かつ免責不許可事由がない場合でも管財手続になる可能性が相対的に高いですので、事業内容等も勘案して決めています。

また、負債額が大きい場合(目安として500万円を超える場合。ただし、住宅ローンなど使途が明らかな借り入れについは除きます)も、管財手続になる可能性が相対的に高くなりますので、負債が増大した理由等も考慮して同時廃止か管財かを決めています。

同時廃止相当か管財手続相当かが決まったら、事案の内容を勘案して具体的な金額を決めることになります。その基準は多岐にわたりますが、免責不許可事由の有無や程度、負債金額、債権者数、個人債権者の有無、給与所得者か個人事業者か、等を考慮することになります。

千葉で債務整理をお考えの方はこちらのサイトをご覧ください。