弁護士法人心柏駅法律事務所の弁護士の白方です。
以前,離婚相談についてブログに記載しましたが,それ以降も,配偶者に離婚を迫られたが離婚を回避したい,という方の相談申し込みが何件かありましたので,弁護士としてできることを再度ご説明したいと思います。
1 配偶者に離婚を迫られ,離婚自体はやむを得ないと考えているが,離婚にあたり取り決めるべき事項について相談したいというケース
離婚の際には,未成年の子がいる場合は親権を決める必要がありますが,それ以外に,養育費,慰謝料,財産分与,年金分割なども取り決めるのが通常です。
親権,養育費,慰謝料,財産分与,年金分割のような,離婚にあたって通常取り決める事項は,いずれも法律問題であり,法律の専門家である弁護士がアドバイスできる事項となります。
また,離婚にあたって,例えば夫が名義人となっている債務について離婚後も妻が一部を負担するという取り決めをしたり,夫が名義人となっている不動産について妻が一定期間居住し続けるという取り決めをしたりすることもあります。これも,前者は債務負担についての取り決め(契約)であり,後者は使用貸借ないし賃貸借契約ですので,いずれも法律問題であり,取り決めの内容や合意条項について弁護士が適切なアドバイスをすることができます。
2 配偶者に離婚を迫られたが離婚を回避する方法について相談したいというケース
離婚の手続は,まず夫婦間で(または代理人を立てて)協議を行い,協議が整わない場合は調停に進み,調停も成立しない場合は訴訟を提起することとなります。
離婚事件を得意とする弁護士は,民法が定める離婚原因については熟知していますので,法律相談の際に夫婦の状況を伺い,調停,訴訟へと進んだ場合の見通しを説明することは可能です。
配偶者に離婚を迫られたが離婚を回避したい,という相談の場合,夫婦は同居しているケースが大半で,不貞やDVなどの離婚原因も見当たらないことが多いですので,現段階で訴訟に進んで判決になっても離婚は認められないのではないか,という説明になると思います。
しかし,離婚を回避するということ,つまり冷え切っていた,または険悪な夫婦間の仲を再び良くするということは,法律問題ではなく事実の問題であり,法律を適用して解決できる問題ではありません。
私も,離婚を回避したいという方の話を聞いていて,こういうところがまずいんだろうなぁ,こういうところを改善したらいいのではないかなぁ,と思うこともありますが,対面している相談者の方は初めて会った方であり,その人(夫婦)のこれまでの人生について全く知りませんので,安易に意見を述べることはしていません。
離婚を回避したいという方は,夫婦を良く知っている方や,夫婦カウンセラー等の専門家に時間をかけて相談していただくのがベストだと思います。
また,ご存じない方もいらっしゃると思いますが,家庭裁判所で行われている夫婦間の調停には「円満調停」,つまり夫婦間を円満に調停してほしいという場合に利用する調停もあり,人生経験豊富な調停委員2名が夫婦それぞれの言い分を聞いてアドバイスをしてくれますので,利用を検討してみてもいいのではないかと思います。