年齢には・・・

私が弁護士業務を始めたのは私がまだ30代の頃で、最初から自分の事務所を開設し、私一人で業務を行っていました。

つまり、裁判所への出廷、準備書面の作成、警察署での接見など弁護士としての中心的業務のほか、相続案件における戸籍の取得、過払金返還請求事件における引き直し計算、債務整理の受任通知の作成、費用の精算と振り込み、郵便の差し出しなど、一般の法律事務所では事務職員が行っている業務もすべて私が行っていました(なお、過払金の引き直し計算は家族に手伝ってもらったこともあります)。破産管財人の業務における配当手続きも私一人で行っていました(債権者数が少なければそれほど手間にはなりませんが、10社を超える案件もありそのときは大変でした)。

日中は裁判所への出廷や書面作成、事務作業をこなしつつ、夜は被疑者国選の接見に行くという毎日でした。当時は千葉地方裁判所松戸支部管内(柏市)で業務をしており、接見に行くのは松戸警察、松戸東警察、柏警察、鎌ケ谷警察、我孫子警察、流山警察でしたが、業務で車を使うことはないですので、電車やバスを使って(タクシーを使うことはありませんでした)警察署まで行っていました。なお業務で車を使わないのは、車の運転が下手だからです。

このようなことができたのは、やはり私が30代で、気力、体力が充実していたからだと思います。

私は少々完璧主義的なところがあり、心配事の9割は起こらないと言われても年中心配ばかりしていますが、そろそろ物事の見方、考え方を変えないといけないなと思っています。その一環として、以前、所有していた大量の書籍(数百冊)をブックオフで売却処分し(残りの人生を考えるとほとんど読めないので)、本を買い込む癖は少し治まってきてはいるのですが、年末に近づいていますので、どの本を買っておこうか、とまた考えるようになってしまっています。

ご相談対応の時間について

私は現在、千葉事務所と船橋事務所の債務整理を担当しています。債務整理の場合、日弁連の規定により、受任するにあたって弁護士による直接面談が義務付けられていますので、債務整理を依頼いただく際は、事務所にお越しいただいて面談(法律相談)を行う必要がございます。

ただ、平日お仕事の方は、平日夜にお越しいただいてご相談ということになるのが通常ですが、現在、私の体調の問題により業務は原則18時で終了しているため、ご相談の最終スタート時間は16時(自己破産、個人再生の場合)または16時30分(任意整理の場合)とさせていただいております(なお、時効援用のご相談の場合は17時スタートで可能です)。

そこで、平日は夜しかお越しになれない方につきましては、土日祝の日中にお越しいただいて相談を行っております。土日祝に相談を行いますと、週7日勤務になることも多いのですが、現時点では対応できています。

もちろん、私も、もしサラリーマンだったとしたら管理職になっているかそうでなければ窓際族になっているという年齢ですので、このような対応をいつまでも続けられるとは思っておりません。年齢的に、体調が回復することはまずないのではないかとも思っておりますので、そうなりますと、そろそろ弁護士業務の第一線から退く時期を設定しておかないといけないのかもしれません。

第一線から退くということになりますと、今後の株式相場が気になるところですが、ゴールドマン・サックスは、S&P500への投資は今後10年間、年平均で3%のリターンに留まると予測しているそうです。

この3%というのはドル建てですので、日本円に換算する場合は為替の影響を受けますが、リスク資産のリターンとしては低いですね。

しばらくは、FOLIOのROBOPROなどに投資して、様子を見ることになりそうです。ちなみに、わたしはROBOPROにいくらか投資していて、ROBOPROはそれをいくつかの資産に分散投資していますが、本日時点で最も含み益の割合が大きいのは金(GLD)です。

不動産価格の上昇

1 不動産価格、とくに中古マンション価格の上昇は、私が担当する債務整理、広くは借金問題にも影響を与えています。

まず、マンションを購入し住宅ローンが残っていて、かつカードローンやクレジットカードの負債も膨らんでいる場合、中古マンション価格の上昇の影響でマンションがアンダーローンとなっていれば、マンションを売却して住宅ローンを完済し、売却代金の残額でカードローン等の負債を返済すれば、場合によっては債務整理を行わずに借金を整理することも可能になりました。債務整理を行わなければ、信用情報に事故情報が登録されることもないため、経済的信用も損なわれません。

他方、住宅資金特別条項を利用する個人再生手続では、中古マンション価格の上昇によりアンダーローンとなると清算価値が増額することになりますが、その増額により、清算価値の総額が住宅ローン以外の負債の総額に近い、または負債の総額を超えてしまうと、個人再生手続を行っても負債はほとんど、または全く圧縮されないということになり、解決が困難になります。個人再生が困難で、任意整理での解決も難しいということになると、自宅の中古マンションは売却を避けられないことになります。

2 離婚の財産分与の場面においても、中古マンション価格の上昇は影響を与えています。

住宅ローンの残っているマンション(婚姻後に購入したもの)も財産分与の対象となりますが、オーバーローンの場合は評価額0円となり、分与する金額はないということになります。

しかし、マンションの評価額が例えば住宅ローンの残額を500万円上回っている場合、マンションを所有する配偶者は、原則としてその2分の1である250万円を財産分与として他方配偶者に支払う必要がありますが、その支払いが困難であれば、最終的にはマンションを売却してその代金の残額の2分の1を支払うということになります。 このように、近時のマンション価格の上昇は弁護士の業務分野である債務整理や離婚の財産分与にも影響を与えています。

生牡蠣

ここ1か月ほど軽度ですが体調を崩していて、身体がだるいことも多いので、もう無理はできない年齢であることを痛感する毎日ですが、今回は、弁護士業務と体調にかかわるエピソードを紹介します。

1 牡蠣ノロウイルス事件

2010年に千葉県の柏市内でワンオペ事務所を設立して弁護士業務を始めてからそれほど期間が経過していない時期だったと思いますが、所属している委員会か何かの関係で、ある日の夜、弁護士4人で松戸駅近くにある海鮮居酒屋に行きました(お店の名前は憶えていません)。

海鮮料理については、基本的にはテーブルに置かれた七輪で焼いて食べるものでしたが、誰かが生牡蠣を注文しようと言ったので、それぞれが1個ずつ注文することにしました。生牡蠣は危ないという印象が強く、私はそれまで生牡蠣を食べたことはなかったのですが、1個だけなら、と思い食べることにしました。美味しかったのかどうかは覚えていません。

その翌日は普通に業務をこなし、夜はお肉を食べた記憶がありますが、その日の夜中、強烈な吐き気がして嘔吐し、全身に色々な症状が発生しました。夜に食べたお肉でこんなにあたることはないと思いましたので、これは生牡蠣が原因だとすぐに判断できました。

当然、弁護士業務を処理できる状態ではなく、発症した翌日は刑事事件の公判がありましたが、延期してもらうことになりました。被告人の方は勾留されていましたが、執行猶予付き判決が濃厚でしたので、公判の延期により、釈放されるまでの期間を延ばしてしまったことになります。

弁護士が扱っている業務は、法律事務所に複数の弁護士が所属していたとしても、基本的にはそれぞれの弁護士が単独で責任を持って処理しますので、当該弁護士による事件処理が困難になると、案件の関係者に大なり小なり迷惑をかけてしまうことになります。幸いにもこのノロウイルスによる感染性胃腸炎は3日ほどで回復した記憶ですが、今回のように(ノロウイルスと比べてかなり)軽度ですが体調不良が続くと、今後の弁護士業務についても考えなければならないなと思っているところです。

なお、私以外の3人の弁護士も生牡蠣を食べましたが、3人とも何ともなかったそうです。

また、しばらく生牡蠣は避けていましたが、その後1回だけ、ガンボ&オイスターバーというお店で何個か食べました。生牡蠣以外の牡蠣料理も食べましたが、このお店の牡蠣は美味しく、もちろんおなかを壊すこともありませんでした。

文字数がオーバーしましたので今回はここまで。

AI

1 この記事を執筆しているのは2023年4月28日ですが、今日は第81期名人戦第二局2日目の対局が行われており、渡辺明名人に藤井聡太竜王が挑戦しています。この記事を執筆している時点では渡辺明名人がやや優勢になっているようです。

第一局は挑戦者藤井聡太竜王が勝利していますが、5日前の4月23日に行われた叡王戦第二局では藤井聡太叡王は菅井竜也8段に敗れています。ややスランプに陥っているのでしょうか。

さて、将棋界はAIの登場によって様相がガラリと変わり、藤井聡太竜王もAMD製の高性能CPUを搭載したパソコンを使用して研究を重ねています。AMDから高性能CPUが搭載されたパソコンの提供を受けたので、古いパソコンは師匠の杉本昌隆八段に譲ったそうです。

先日テレビ番組を見ていたら、かつては隆盛だった戦法も、AIにより勝率が低いことが判明すると、廃れていったという話が出ていました。

このAIは、これまでに行われた対決の棋譜をパソコンに入力し、それをAIが解析することで、現在行われている対局の次の最善手を示してくれます。日曜日に放送されている将棋のNHK杯でも、対局の途中からAIによる最善手が表示されています。

となると、結局のところ人間はAIに将棋で勝つことはできず、今後の将棋は、人間同士が対決することによるドラマを楽しむということになるのでしょうか。

2 法律相談においても、ある法律相談サイトにおいて、投稿された相談内容とそれに対する弁護士の回答をAIが分析し、AIが法律相談を行うような方向で開発が進められているようです。

ネットの発達により、法律問題についての解決法もネット上で容易に探せるようになり、それに伴い弁護士が行う法律相談の価値は相対的に下がってきましたが、AIが法律相談を行えるようになると、その価値はさらに下がってしまうことになります。 私は、民間会社では管理職になっているような年齢ですのであとは枯れていくだけですが、これから弁護士として活躍する若い方は、より高度な知識と技術を要求されることになるのではないかと思います。

雑感

弁護士の業務は、現在はその対象も広がってはいますが、典型的には、紛争事案について法律を適用し、解決に導くというものです。その解決の方法として、紛争の相手方との交渉や、裁判所での調停、裁判があります。

この法律ですが、その条文は抽象的なことも多いですので、実際の紛争に適用するにあたっては、最高裁判所の判例や高等裁判所等下級審の裁判例を参考にしなければならないことも多くあります。

また、法律そのものについて大きな改正がなされた場合は、改正法についての知識をしっかり身に付ける必要があります。

さらに、司法試験合格者数の増加により弁護士数もかなり増えましたが、それにより生じたのは、弁護士が扱う各分野についての専門分化です。現在では、刑事事件専門事務所、離婚事件専門事務所、相続事件専門事務所、交通事故専門事務所など、専門事務所は珍しくなくなりました。

専門分化により、各分野についての知識、処理方法などが深化し、複数の分野を広く浅く扱うということが難しくなってきました。

もちろん、弁護士としての一般的な能力を身に付け、底力を養うためには、多種多様な案件を扱うことで様々な知見を習得する必要がありますが、そうなると、各分野の深化に追いつけないということにもなりかねません。

このように、弁護士は常に知識や情報をアップデートし、取り扱っている分野の深化に追いついていかなければなりませんが、年齢を重ねると物忘れも激しくなり、勉強を継続するための体力も衰えますので、知識のブラッシュアップがなかなか困難になります。

私も既にアラフィフで体力も衰えてきていますが、私は視力がかなり悪く、かつ左右の目の視力が異なるため、慢性的な眼精疲労で、書籍や雑誌に目を通すことができる時間も限られています。

最近、講談社現代新書で河村小百合さんの「日本銀行 我が国に迫る危機」が出版されましたので、購入し読んでいますが、他にも読みたい本は多く、読みたい本ばかり読んでいると、法律関係の本に目を通す時間が減ってしまうので悩ましいところです。

預り金について

最近、鹿児島県弁護士会に所属する弁護士が、顧客の預り金を流用していたため業務停止1年の懲戒処分を受けたとの報道がありました。預り金の流用は同弁護士が千葉県弁護士会に所属している間に行われたということです。また、報道によると、流用された預り金は全額返還されたとのことです。

弁護士は、多額の金額を一時預かることがよくあります。例えば交通事故の損害賠償請求を弁護士が代理人として行う場合、和解金の振込先口座として弁護士の預り金口座を指定することが多いですので、例えば和解金額が1億円の場合、その金額を一時預かることになります。そして、弁護士の預り金口座に振り込まれた和解金から成功報酬や実費を差し引いて依頼者の方に返金することになります。

弁護士の預り金口座に和解金等を入金してもらうのは、成功報酬の確保が第一の目的です。そのため、事件の相手方からの金銭の支払いが予定されていない案件の場合、成功報酬見込額に相当する金額を事件受任時にお預かりすることがあります。例えば、相手方からの金銭の支払いが予定されていない(財産分与や慰謝料の請求がない)離婚事件などです。

私は主に個人の方の破産再生関係を扱っていますので、預かるとしても実費見込額程度ですが、過払金返還請求の場合は、和解金の振込先として所属法人の預り金口座を指定しています。そして、この和解金を破産の費用等に充てる必要がある場合等を除き(例えば負債が700万円で破産は必要であるが、50万円の過払金もある場合、原則としてまず過払金を回収し、回収した過払金を破産の費用に充てています)、原則として和解金が入金された当日に依頼者の皆さまに返金するよう心掛けています。

また、遺産分割の関係で私が預貯金等の相続手続きを行う場合、ある程度の期間、解約した多額の預金を預り金口座で預かることがありますが、このようなケースでは、依頼者の方が不安にならないよう、定期的に進捗状況を連絡しています。

多額の金銭を依頼している弁護士が預かっているケースで、比較的長期間何の連絡もない場合は、遠慮は全く不要ですので、依頼している弁護士に詳細を問い合わせてください(問い合わせに対する弁護士の回答があいまいでわからない場合は、必ず詳しい説明を求め、それでもあいまいな場合は、他の弁護士や弁護士会に相談してください)。