弁護士法人心 柏駅法律事務所の弁護士の白方です。
今回は,相続財産管理人について述べたいと思います。
私は,裁判所から相続財産管理人に選任されたことが過去6回あります(うち1件は現在継続中です)。
相続財産管理人は,相続人のいない被相続人の相続財産を管理し,被相続人に貸金業者などの債権者がいる場合は返済を行い,残った相続財産を国庫へ納付します。
「相続人のいない」場合とは,もともと法定相続人が存在しない場合のほか,法定相続人全員が相続放棄をしたことにより相続人が存在しなくなった場合も含みます。
後者の場合,通常は被相続人の財産について債務超過になっており,見るべき財産がなければそもそも相続財産管理人の選任申立ても行われませんが,例えば3000万円の借金があるものの,1000万円の不動産もある場合は,その不動産を売却して返済してもらうために,債権者が選任の申立てを行うことがあります。
前者の,もともと法定相続人がいない事案のうち,孤独死のケースでは検察官が申し立てを行うのが通常です。
このようなケースの場合,被相続人の自宅の中はゴミなどが散乱していることが多いと思いますので,相続財産管理人は,そのような被相続人の自宅に立ち入って財産の有無を調査する必要があります。
私が担当したケースでは,検察官が申し立てた時点で明らかになっていた財産は預貯金のみでしたが,自宅内の調査の結果,証券会社からの郵便が見つかり,多額の投資信託の存在が判明したことがありました。
ちなみにその案件では,自宅の押し入れの奥から骨壺に入った被相続人の親族の遺骨が見つかりましたので,事務所に持ち帰って保管し,納骨できるお寺を探して納骨しています。
身寄りがいないケースでも,被相続人に成年後見人が選任されている場合は,通常,その成年後見人が相続財産管理人の選任申立てを行います。
成年後見人は,家庭裁判所の監督の下で業務を行い,毎年1回成年被後見人の財産状況について裁判所に報告する必要がありますので,相続財産管理人が成年後見人から相続財産を引き継ぐ際には,被相続人の財産関係はすべて明らかになっているのが通常です。
次回に続きます。