ETCカード

1.債務整理を行う場合は、当然ですが対象となるクレジットカードは使えなくなります。水道光熱費や電話料金などがクレジットカード払いとなっている場合は、その支払い方法を口座振替や納付書払いに変更する必要があります。

支払方法を変更しないと、クレジットカード会社から変更するよう催促の連絡があります。任意整理の場合は、支払方法を変更しないと債権額が確定しないため、手続きを進めることができません。

2.水道光熱費や電話料金等、日々利用しているものについては、支払方法がクレジットカードになっていればすぐに気付くと思います。

しかし、月々数百円程度のネットコンテンツの会費などの場合、申し込んだことも、毎月支払っていることも忘れてしまっていることがあります。

弁護士に債務整理の相談をする前に、クレジットカードの利用明細を確認し、毎月引き落とされているものをチェックしておくとよいでしょう(年会費等、1年に1回クレジットカードで支払っているものも同様です)。

3.頻度としてはそれほど多くはないですが、任意整理の受任後、または任意整理による和解成立後に、任意整理を行ったクレジットカード会社から、ETCカードの利用があったとの連絡があることがあります。

債務整理に入れば、クレジットカード会社は当然、クレジットカードやETCカードを利用停止にしますので不思議に思っていたのですが、あるクレジットカード会社の担当者から、ETCカードは安全のため継続利用できるようにしている場合があると聞き、納得しました。

つまり、債務整理を行ったクレジットカード会社のETCカードを誤って機器に入れっぱなしにしたままETCのゲートに突入してしまった場合に生じうる危険を防ぐということです。

4.もちろん、利用停止になっていないからといって、債務整理を行ったクレジットカード会社のETCカードを故意に使うことは問題です(ETCの利用が頻発すればクレジットカード会社もカードを利用停止にするでしょう)。

そのため、債務整理をご依頼いただく際は、ETCカードをお持ちの場合は預けていただくことにしています。

弁護士事務所の増加

⑴ 司法制度改革により2000年代以降、司法試験の合格者数が増加し、現在は毎年1500人程度が合格しています。そのため、以前と比べて弁護士事務所の数が増加しています。

弁護士法人心千葉法律事務所が入居しているリードシー千葉駅前ビルも、昨年6月の事務所設立時は当法人も含めて弁護士事務所は2軒でしたが、現在では4軒と2倍になりました。

千葉駅北口は、私が司法修習を受けていた十数年前は、法律事務所は一つもなかったはずですが、現在では私が知る限り6軒の法律事務所があります。

以前は規制されていた弁護士事務所の広告も解禁されていますので(もちろん一定の制限はあります)、弁護士事務所の増加とあいまって弁護士へのアクセスは10年以上前と比べて格段に良くなりました。

しかし、これだけ弁護士事務所が増えると、どの事務所に相談したらいいのか迷う方も多いと思います。

⑵ 弁護士事務所の増加により顕著となったのは、弁護士の専門分化です。つまり、交通事故を専門に取り扱う事務所、離婚を専門に取り扱う事務所、相続を専門に取り扱う事務所、刑事事件を専門に取り扱う事務所等が増えました。もちろん、専門と言っても、その分野のみ扱うというわけではなく、その分野を中心として取り扱っている、という意味です。

そこで、弁護士(事務所)を選ぶ際は、ご自身が相談しようと思っている分野を専門的に取り扱っているかどうかが一つのポイントとなります。

弁護士法人心では、交通事故や債務整理など、複数の分野について専門に取り扱っている弁護士が所属しています。

⑶ ただし、例えば同じ連帯保証人としての相談でも、主債務者が返済できなくなったため債権者から返済を請求されたものの返済できる資力がないからどうにかしたい、という相談の場合は債務整理の相談となりますが、債権者から返済を請求されたが連帯保証人になった覚えはない、という相談の場合は一般民事(または消費者被害)の相談となり、異なる分野となります

どの分野の相談かわからない場合は、とりあえず市役所等の無料法律相談を利用してみるのもよいと思います。

かつての司法試験

1 弁護士になるためには、現在の制度では2つのルートがあります。一つは、法科大学院(ロースクール)を卒業して新司法試験に合格し、司法研修所を卒業するルート、もう一つは、予備試験に合格して新司法試験の受験資格を得て新司法試験に合格し、司法研修所を卒業するルートです。

2 しかし、かつての司法試験は、4年制大学の教養課程(大学2年までの講義です)で一定の単位を取得していれば、誰でも受けられる試験でした(この条件を満たしていない場合は、教養試験である一次試験に合格する必要がありました)。

大学で一定の単位を取得すれば誰でも受けられる試験でしたので、大学を卒業しても就職せず、アルバイト等をしながら司法試験の受験を継続する方が多くいました(法学部出身者に限らず、他学部出身の受験生も多くいました)。しかし、日本は就職について新卒一括採用が定着していますので、正社員として就職せず、アルバイト等をしながら司法試験の受験を継続することは、大きなリスクを伴う選択でした。

そのため、大学を計画留年し、例えば3回受けて合格しなければ就職するという方もいました(なお、旧司法試験は択一試験、論文試験、口述試験の3つから構成されていましたが、択一試験に合格しただけでもそのステータスは高く、就職活動で評価されていました)。

3 私も、卒業時に就職氷河期だったこともあり、就職せずに司法試験の受験を継続していましたので、大学を卒業して5年経った頃には今後どうなるのかと不安もありましたが(択一試験は得意で上位合格が続いていましたので、いずれ論文試験も合格するだろうと思い受験を継続していました)、合格者が増えたこともあり、旧司法試験にどうにか合格することができました。

4 司法試験合格者の増加に伴い弁護士数も増え、平均収入の低下により経済的魅力も薄れてきましたので、司法試験を誰でも受験しやすい制度に戻しても、受験者数は2004年頃のように5万人近くにはならないと思います。

ただ、社会や価値観はより多様化していますので、様々なバックグラウンドを持つ多くの方に法曹となっていただくことがより求められているのは間違いないと思います。

千葉事務所雑感

前回は、千葉駅周辺のランチ(弁当)事情について投稿しましたが、今回は千葉駅周辺の弁護士事務所の業務事情について、私が以前在籍していた事務所との比較も含めて述べたいと思います。

1 郵便局

⑴ 移籍前は、最寄り駅の東口から徒歩10分程度の場所に集配局である郵便局があり、問題なく歩いて行くことができる距離です。

集配局は、平日は、郵便窓口は午後7時まで開いており、土日も開いています。なお、ゆうゆう窓口もありますが、現在、夜間の受付は行っておらず、午前中のみ通常の窓口より早く開くようです。

以前在籍していた事務所も最寄り駅の東口にあり、集配局である郵便局まで問題なく歩いて行けますので、窓口で差し出す必要がある郵便(簡易書留や特定記録)について当日の集配に間に合わせるためには、午後7時までに郵便局で差し出せば大丈夫でした。

⑵ 他方、千葉駅の場合、午後5時まで受け付けている特定郵便局は千葉事務所から歩いて6分ほどの場所にありますが、集配局は若葉郵便局となり、千葉事務所のある千葉駅北口からは歩いて20分弱かかります。そのため、若葉郵便局での郵便の差し出しは現実的ではなく、午後5時までに近くの特定郵便局で差し出す必要があります。

⑶ なお、普通郵便はポストに投函すれば大丈夫ですが、柏事務所の場合、最寄りのポストの最終集荷は17時30分ころで、それに間に合わなければ、19時までに柏郵便局の窓口で差し出す必要がありました。

他方、千葉事務所の最寄りのポストは千葉駅北口のロータリーにありますが、このポストの最終集荷は19時20分ころのため、普通郵便に限れば、千葉事務所の方が余裕をもって差し出すことが可能です。

⑷ 内容証明郵便は、集配局で差し出す必要があり、移籍前の事務所にいた際は郵便局の窓口で差し出していましたが、千葉事務所だとさすがに大変ですので、電子内容証明郵便に切り替えました。電子内容証明郵便だと待ち時間がありませんので、業務は効率化しますが、電子内容証明郵便だと弁護士の職印での押印ができませんので、インパクトは弱くなります。

⑸ なお、千葉みなと駅には、千葉県内で最も大きい千葉中央郵便局があります。

郵便事情については以上です。

ランチ

私は昨年7月に柏から千葉に移籍しました。柏には事務所の近くにガスト、ジョナサン、夢庵、サイゼリアなどのランチがあるファミリーレストランがありましたので、よく利用していました。これらのファミリーレストランにはドリンクバーがありますので、食後にコーヒーを飲む私は必ずドリンクバーも注文していました。

しかし、千葉では、事務所は千葉駅北口にあるため(弁護士事務所も北口にはあまりありません)、ファミリーレストランがある千葉駅・千葉中央駅間まで行くのは遠く、またペリエにあるフードコートは混雑していることが多いですので、外で食べるとしても、エキナカの蕎麦屋さんか、魚力のイートインがほとんどです。なおエキナカには松戸富田製麺があり、ここのつけ麺は大好物ですが(通販でもよく購入しています)、順番待ちの行列がないことはほとんどないですので、お店で食べることはほとんどないです(なお、お土産つけ麺は順番待ちの行列があってもすぐに購入できます)。エキナカのお店を利用するには入場券が必要ですが、私は定期券がありますので、定期券で入退場できます。

このように、千葉の事務所に移籍してからは外で昼食を取ることがほとんどできないため、弁当を買うことが多くなりますが、弁当については柏より千葉の方がかなり充実しています。柏では、ときどき有名なカレー店であるボンベイの弁当を購入していましたが、それ以外はほとんどコンビニ弁当でした。

しかし、千葉駅のエキナカにはおいしい弁当屋さんが軒を連ねており、種類も豊富ですので、飽きることはありません。例えば、魚力は海鮮丼や寿司弁当、うおひでは焼き魚の弁当、塚田農場はチキン南蛮弁当、さぼてんはとんかつ弁当(駅の外にあるペリエにはとんかつ和幸もあり弁当を売っています)、大将軍は焼肉弁当を販売しています。お値段はもちろんコンビニやスーパーの弁当より高いですが、素材や味は違いを感じます。

また、千葉駅構内には有名なパン屋であるピーターパンもあり、軽い昼食を取りたいときはここでパンを2個くらい買って、事務所でコーヒーと一緒に食べています。とくに、アスパラガスを2本使ったパンが好きで、毎回買っています。

千葉駅を経由して旅行する方は、是非千葉駅構内でランチを楽しんでください。

弁当1個27○○円??

1 昨日の出来事ですが、千葉駅のペリエのとあるお店で2割引の弁当があったので、購入しようと思いレジに持って行きました。商品を受け取った店員がバーコードを読み取ったところ、27○○円(100円未満の正確な金額は覚えていません)と表示されましたので、その店員は「27○○円になります」と私に言いました。

そのお店は和食の弁当や総菜を売っていますが、チェーン店で、高級というわけではありません。購入しようとした弁当は定価でも1000円未満です。私の記憶では、そのお店では2000円を超える弁当は売っていません。

そこで、「27○○円?」とその店員に言ったところ、「27○○円です」と答えるので、再度「27○○円??」と聞き返したところ、その店員は「そうです」と言うだけでした。バーコードリーダーで弁当1個のバーコードを読み取ったのはその店員です。

このあと、このやり取りを斜め後ろで見ていた別の店員が、応対していた店員にレジの修正を指示し(一つ前の客の購入品の金額が加算されていたようでした)、無事7○○円で和食弁当が購入できました。

2 レジの設定ミスはやむを得ないですが、ここで私が問題だと思ったのは、その店員が「27○○円」という表示に疑問を持たなかったことです。

その店員は、自分が働いているお店がどのような商品をどれくらいの値段で売っているか熟知しているはずです(仮にその店員が新人だったとしても、少しは知っているはずです)。

そうであれば、弁当1個をバーコードリーダーで読み取り、27○○円と表示されたのであれば、その表示に疑問を持たなければなりません。

その店員がそのような疑問を持たなかったのは、マニュアル通りにしか仕事ができず、臨機応変に対応することができなかったからでしょう。

3 弁護士も、ときには臨機応変に対応することが必要な場合があります。私が経験したケースでは、詐欺罪の刑事裁判で、打ち合わせのときは犯意を認めていたのでそれを前提に被告人質問の内容を準備していたところ、公判期日でその被告人が犯意を否定したということがありました。

そこで、急遽私の頭の中で被告人が犯意を否定していることを前提とする被告人質問の内容を構成し、同じ公判期日で被告人質問を行いました。

なおこのケースでは、被告人は、検察官の質問に対しては犯意を認める内容の供述をしたため、再度私から質問し直したところ、犯意を認めると言うことで無事執行猶予となりました。

自己破産の費用について

弁護士法人心では、個人破産の着手金を20万円~(税別)、個人再生の着手金を25万円~(税別)としています。なお、法律事務所によっては、例えば破産手続で免責が許可された場合に成功報酬金が発生する旨を委任契約書に規定しているケースもありますが、当法人では、個人破産手続または個人再生手続そのものについては、成功報酬は規定していません(過払金を回収した場合は回収額の一定割合の金額が成功報酬となります)。

「~」となっていると、いったいいくらになるのか不安に思っている方や、逆に、20万円や25万円という金額を見て(他の法律事務所と比較して)安く感じている方もいらっしゃいますので、今回は、私が個人の方の自己破産の着手金を決める際の基準について、その概要をご説明したいと思います。

なお、金額はすべて税別の金額となります。

まず、自己破産は、大まかに、同時廃止が相当であると思われる案件は25万円から35万円程度、管財手続が相当であると思われる案件については35万円から45万円程度を一応の枠として定めています。なお、夫婦同時に破産手続を行う場合は、配偶者の一方について最低金額である20万円でお受けすることがあります。

同時廃止が相当であると思われる案件とは、千葉地方裁判所が公表している同時廃止の財産基準を満たし、かつ、免責不許可事由もない(またはあっても軽微である)案件です。

ただし、事業者(会社代表者や個人事業者)の方や、過去に事業者だった方は、同時廃止の財産基準を満たし、かつ免責不許可事由がない場合でも管財手続になる可能性が相対的に高いですので、事業内容等も勘案して決めています。

また、負債額が大きい場合(目安として500万円を超える場合。ただし、住宅ローンなど使途が明らかな借り入れについは除きます)も、管財手続になる可能性が相対的に高くなりますので、負債が増大した理由等も考慮して同時廃止か管財かを決めています。

同時廃止相当か管財手続相当かが決まったら、事案の内容を勘案して具体的な金額を決めることになります。その基準は多岐にわたりますが、免責不許可事由の有無や程度、負債金額、債権者数、個人債権者の有無、給与所得者か個人事業者か、等を考慮することになります。

千葉で債務整理をお考えの方はこちらのサイトをご覧ください。

弁護士の専門性

新型コロナウイルスについての医療関係者の発言をツイッター等でよく見かけますが、その発言について、同じ医療関係者から、発言者の専門外の内容についての発言で間違いがある、などといった指摘がなされていることがあります。

また、多数の病院を回ったものの身体の不調の原因がわからず、ようやくたどり着いた専門医の診察で不調の原因が分かった、というドキュメンタリー番組もありました。

例えば、高熱が出た場合に近所の整形外科に診察を受けに行く方はいないと思いますので、医師には専門分野があるということは広く認識されていると思います。

 

他方、弁護士については、専門性について一般に認識されているとは言えません。これは、多くの法律事務所で、取扱分野を広く網羅して表示していることにもよるのかもしれません。

たしかに、弁護士は、それほど取り扱ったことのない種類の案件でも、専門家向けの解説書等を参照することで、ある程度の処理をすることは可能です。

しかし、その分野を多く取り扱っている弁護士と比較すると、処理のスピードは類型的に遅くなるでしょうし、忙しい弁護士であれば解説書を丹念に読み込む時間もありませんので、当該分野について専門性を有しない(あまり取り扱った経験がない)弁護士に依頼すると、経験の多い弁護士に依頼する場合と比較し、不利益が生じやすいとは言えるでしょう。

これは極端な例ですが、車(四輪車)対オートバイの交通事故の過失相殺について、依頼を受けた弁護士が車(四輪車)対車(四輪車)の過失相殺の表を見ていたケースもありますし(見るべきは四輪車対単車の過失相殺の表です。交通事故をそれなりの件数扱っている弁護士であれば、このようなことはあり得ません)、また、個人再生の委任契約を数年後に弁護士から解約された方の相談について、その解約された理由を聞くと、税金の滞納が解消されていないから申立てができない、というものでした(税金滞納があっても、分割納付の合意ができており履行可能性があれば、手続きを進めることができます。その方は分割納付の合意があり分割納付をしていました)。

相談の際は、同種案件についてその弁護士がどの程度扱ったことがあるのかも聞いてみるとよいと思います(なお、その弁護士が若手で経験が少なくても、同じ法律事務所の上の弁護士が多数の経験を有しており、その弁護士の指導監督を受けることができる場合は、適切な処理を期待できますので、ケースバイケースです)。

マンションの解体費用

弁護士として破産管財人や相続財産管理人の業務を行う際、不動産を売却しなければならないことがよくあります。

相続財産管理人の場合、被相続人が身寄りのない(相続人のいない)成年被後見人であることもあり、その被相続人が戸建てを所有している場合は、家も古く中はかなり汚れていることもあります(身寄りがいないと成年後見人は弁護士や司法書士等になりますが、掃除をすることはあまりありません)。

その場合、不動産の買主は建物を解体して土地を利用する(新たに建物を建てて売却するなど)ことを想定して購入しますので、その解体費を考慮して購入価格を提示することになります。

この戸建ての解体費用ですが、私が関わった案件では、高くても数百万円程度が想定されていました。

2020年1月、滋賀県野洲市が市内の築48年の分譲マンションについて、空家対策特別措置法に基づき行政代執行で解体工事を始めたとのニュースが出ていました。このマンションは1972年建築の3階建てで、9部屋あるが、住人は十数年前にいなくなっており、管理組合がなく修繕費用も積み立てられていないため、壁や階段が崩れるなど老朽化が進んでいたとのことでした。

その後の報道によると、この解体工事には1億1800万かかり、その費用について市は所有者9人(9部屋あるマンションなので9人です)に各1300万円を請求し、一部の所有者は支払ったそうです。

3階建て(9部屋)のマンションでこの金額ですので、タワーマンションを解体する場合はどれほどの費用がかかるのでしょうか。日本の人口は今後も減り続け、それにともない住居の需要も少なくなりますので、マンションについても空き部屋が増えることになります。そうなると管理費や修繕積立金の滞納も増え、十分な修繕もなされないまま廃墟マンションになってしまいます。

現在の法制度では不動産を放棄することはできないため、そのようなマンションの所有者がそれを手放すためには、新たな買主を見つけなければなりません。しかし、住居の需要は減る一方です。

主要な駅の前に建っているマンションであれば需要が減ることもないと思いますが、そうではないマンションの購入を検討している場合は、将来のことを十分考えてから決めたほうがよさそうです。

千葉地方裁判所

⑴ 弁護士法人心 千葉法律事務所を設立してから5か月が経過しました。

高校生のときは毎日京成千葉線の千葉中央駅を利用していましたが、千葉市まで来ていたのはその3年間と、弁護士になる前の司法修習の9か月(民事裁判、刑事裁判、検察各3か月)のみですので、区や駅の地理的な位置関係がまだ把握できておらず、ご相談の際、最寄り駅はどちらですか?とお聞きすることも多いです。

ただ、これは柏で業務をしていたときも同様で、もともと柏が地元というわけではなかったですので、地名が読めないことや(「十余二」など。「とよふた」と読みます)、駅前の道路の愛称(「サンサン通り」など)がわからなかった、ということがありました。

⑵ 千葉県内には規模の大きい裁判所が二つあり、一つは千葉市にある千葉地方裁判所(本庁)で、もう一つが松戸市にある千葉地方裁判所松戸支部です。

千葉地方裁判所松戸支部の管轄は松戸市、柏市、野田市、流山市、鎌ヶ谷市、我孫子市で、市川市、船橋市、浦安市は千葉地方裁判所(本庁)の管轄になります。

ただ、千葉県の地図を見ていただければ一目瞭然ですが、直線距離では市川市は千葉地方裁判所(本庁)がある千葉市中央区よりも千葉地方裁判所松戸支部がある松戸市の方が近く、浦安市は東京地方裁判所がある霞ヶ関の方が近いです。

そこで、以前から、船橋市に事務所を構える弁護士を中心に、船橋市に千葉地方裁判所の支部を作ろうという運動が行われていますが、船橋市があまり乗り気ではないようで、実現の見込みは立っていません。

逆に、コロナ禍で裁判手続のIT化が加速し、そうなると裁判所の地理的関係はあまり問題にならなくなりますので、支部の増設はより難しくなる(不要になる)ということになるでしょうか。

⑶ ただし、市川市(JR総武線の下総中山駅から歩いて行ける距離)には簡易裁判所と千葉家庭裁判所の出張所があり、市川市、船橋市、浦安市が管轄区域ですので、140万円以下の民事訴訟や民事調停、家事調停等はここで行うことになります。

過払金についてのご相談お申し込みの際の注意点

過払金返還請求については,最大手の消費者金融会社であった株式会社武富士が倒産した2010年前後が最も隆盛で,裁判所の法廷の入り口に貼られている期日表を見ると,多くが過払い金返還請求訴訟でした。

過払金の問題が発生したため,多くの消費者金融会社やクレジット会社は,2007年から2008年ころには新規契約の貸付利率等を利息制限法が定める上限利率内に変更しており,既存契約についても,その時期にはバラツキがありますが,利率を利息制限法の上限利率内に変更しました。
2010年ころは,消費者金融等と6,7年程度継続して借り入れと返済を繰り返していれば,多くが過払いとなっていましたので,弁護士等のウェブサイトにも,6,7年程度継続して取引があれば過払いが生じている可能性がある旨の記載がありましたが,現在では,7年前でも2013年ですので,そのようなことはありません。
過払い金返還請求についての説明を更新していないウェブサイトを読むと誤解が生じる可能性がありますので,注意が必要です。

また,(極度額100万円未満で)利息制限法の上限利率である年18%を超える利率で例外的に貸し付けることができたのは,消費者金融やクレジットカード会社です。この例外が認められるためには一定の要件(特定の内容を記載した書面の交付など)を満たす必要がありますが,満たしていないとする裁判例が相次ぎましたので,このように多数の過払い金返還請求が行われているわけです。

しかし,この例外は銀行には適用されません。つまり,銀行は,利息制限法の上限利率を超える利率で貸付を行うことはできません(上限を超える利率で貸し付けると完全に違法になります)。
最近,銀行のカードローンについて過払金の問い合わせが増えていますが,銀行からの借りれについてはそもそも過払い金は発生しませんので,ご注意ください。

また,上で述べたように,多くの消費者金融会社やクレジットカード会社は,2007年から2008年ころに新規契約について貸付利率を利息制限法の上限利率内に変更しています。本日まで10年間借り入れと返済を繰り返していても,新規契約は2010年ですので,過払金は発生していません。

ただし,消費者金融等との現在の契約が例えば2017年だとしても,同じ業者についてそれ以前に,例えば2000年から2013年の間に借り入れと返済を繰り返していたという場合は,2013年までの取引について過払いが発生している可能性があり,その過払い金と,2017年以降の取引の残高を相殺して処理することが可能になりますので,一度ご相談ください。

 

新型コロナウイルスの影響と債務整理について(2)

⑴ 住宅ローンがある場合

2020年8月7日の時事通信社「時事ドットコムニュース」に,「新型コロナウイルスの影響で収入が激減した家庭や個人事業主を対象に、金融庁と全国銀行協会が住宅ローン返済の減免措置を検討していることが、7日分かった。」「一方、金融機関は既に、収入減少でこれまで通りの返済が困難となった家庭には返済の繰り延べなどを行っている。」という記事が掲載されていました。

住宅ローンの減免措置とは,大規模な自然災害の被災者に対する債務整理指針の適用対象にコロナ禍による経済困窮者を加える案のことですが,このブログを書いている時点ではまだ成立していません。

しかし,記事にもあるように,金融機関は既に新型コロナウイルスの影響で収入が減少し,住宅ローンを予定通り返済することができなくなった家庭に返済の繰り延べを行っています。

新型コロナウイルスの影響で収入が減少し,返済が厳しくなった方で,住宅ローンがある場合は,まず住宅ローンを借りた金融機関に相談してみてください。

住宅ローンのリスケジュールにより他の借り入れ,クレジットカード等の返済ができるようになれば,信用情報に事故情報が掲載されることもありません。

住宅ローンのリスケジュールをしても他の借り入れ等の返済が厳しい場合,または住宅ローンのリスケジュールができない場合は,住宅ローン以外の負債について任意整理を行うか,住宅資金特別条項を利用した個人再生(住宅ローンはそのまま返済しますので,自宅を残すことができます)を検討することになります。

⑵ すぐに弁護士に相談してください

新型コロナウイルスの影響で収入が減少し,返済が厳しくなったため,借入額を増額したり,別の業者から新たに借り入れを行ったりする方がいらっしゃいます。

しかし,それは一時的な効果しかない対症療法で,新たに借り入れができなくなった時点で行き詰ります。住宅ローンがあるケースで,住宅ローン以外の負債も多く個人再生を行っても返済が厳しいという場合は,自己破産せざるを得なくなります。

自転車操業に陥る前に,必ず弁護士に相談してください。

新型コロナウイルスの影響と債務整理について(1)

新型コロナウイルスの影響により収入が減少し,または退職せざるを得なくなったため,カードローンやクレジットカードの支払いが厳しくなったという相談が増えています。

そこで,今回は,上記のような状況の方がどのような債務整理の方法を選択すればよいのかについてご説明します。

⑴ 新型コロナウイルスの影響で収入が減少したものの,数ヶ月程度ですぐに回復することが見込まれるケース

このようなケースでは,まずクレジットカード会社等に連絡し,事情を説明して返済額の減額または猶予の申し出を行ってみてください。

クレジットカード会社等も,相当数のクレジット契約者に新型コロナウイルスの影響による収入減少が発生していることを認識していますので,数ヶ月程度であれば,返済猶予等に応じてくれる場合があります。返済猶予に応じてくれた場合は,基本的に信用情報に傷がつくこともありません。

クレジットカードカード会社等が返済猶予等に応じてくれない場合は,一度弁護士にご相談ください。

⑵ 新型コロナウイルスの影響で収入が減少し,その状態が比較的長期間継続すると見込まれるケース

このようなケースでは,減少後の収入を前提として収支状況を検討し,返済に充てられる金額を算出し,弁護士に相談してください。

返済に充てられる金額が任意整理を行うことにより想定される返済金額よりも多い場合は,任意整理を選択します。任意整理であれば,例えば自動車ローンがあったとしても,それを除外して行うことができますので,自動車を残すことができます。ただし,自動車ローンも任意整理を行わなければ返済が難しいという場合は,自動車ローンも任意整理を行うことになります。

返済に充てられる金額が任意整理を行うことにより想定される返済金額よりも少ない場合は,自己破産または個人再生を検討することになります。自己破産または個人再生を行った場合は,自動車ローンも対象となりますので,原則として自動車は引き揚げられることになります。

次回に続きます。

弁護士法人心 千葉法律事務所の開設

弁護士法人心は、2020年7月1日、千葉駅北口徒歩1分の場所にあるリードシー千葉駅前ビルに「弁護士法人心 千葉法律事務所」を開設しました。ビルは千葉駅北口のロータリーの目の前にあり、ビルの1階には千葉信用金庫千葉駅前支店が入っていますので、すぐにわかると思います。ちなみに、ビルに最寄りの千葉駅北口の階段を降りたところからビルの入り口まで、私の足で45秒でした。所長には私が就任しています。

https://www.chiba-bengoshi.pro/

千葉駅の北口側は閑静な住宅街になっており、駅前にもオフィスビルはあまりありません。駅前の人通りも少なく、法律事務所の立地としてはベストな場所です(歩行者を呼び込むことをメインとするお店にとっては難しい場所ですが)。

私は本千葉駅の近くにある県立千葉高校出身ですので、高校生時代は千葉駅にも時々来ていましたが(通学で使っていたのは京成千葉線の千葉中央駅です)、千葉駅は再開発によりだいぶ変わりました。エキナカには私の好きなつけめんのお店もあり、行列が少ないときに立ち寄っています。

千葉市には千葉地方・家庭裁判所の本庁があります。本庁の管轄は千葉市、習志野市、市原市、八千代市、船橋市、市川市、浦安市になります。なお、市川市に家庭裁判所の出張所がありますので、船橋市、市川市、浦安市については、家事調停等一部の事件は市川の出張所の管轄になります。

簡易裁判所については、千葉簡易裁判所の管轄が千葉市、習志野市、市原市、八千代市になり、市川簡易裁判所の管轄が船橋市、市川市、浦安市になります。

また、裁判員裁判については、千葉県内では、千葉地方裁判所の本庁でのみ行われます。

なお、千葉県内の簡易裁判所で行われた民事裁判について控訴が行われた場合、管轄はすべて千葉地方裁判所の本庁になります。この点は、専門家でも誤解している場合があります。松戸簡易裁判所の民事判決について控訴した場合、千葉地方裁判所松戸支部に行くわけではなく、千葉地方裁判所の本庁になるというわけです。

ちなみに、茨城県の取手簡易裁判所で出された判決について相手方が控訴したということがありましたが、控訴審の管轄は水戸地方裁判所の本庁ですので、水戸まで行くのに苦労した、ということがありました。

弁護士法人心 千葉法律事務所では、相続、遺言、相続税、生前対策、離婚、交通事故、自己破産、個人再生、任意整理、過払い、刑事弁護などを主力業務として扱っておりますので、お気軽にお問い合わせいただければと思います。

弁護士法人倒産のニュース

弁護士法人心では,本年6月1日,三重県四日市市にあらたに弁護士法人心 四日市法律事務所を設立しました。近鉄四日市駅から徒歩1分の場所にありますので,自己破産,個人再生,任意整理などの債務整理,過払金返還請求,交通事故,遺産分割,遺言作成,相続放棄,相続税申告等,お気軽にご相談いただければと思います。

https://www.yokkaichi-bengoshi.com/

 

最近,弁護士法人東京ミネルヴァ法律事務所について破産手続が開始し,負債は51億円あるとの報道に接しました。

また,消費者金融等から回収した過払い金を流用していたとの報道もあります。

 

弁護士が依頼者の方の代理人として過払金返還請求手続を行い,消費者金融やクレジット会社から過払金の返還を受ける場合,振込先口座として通常,弁護士(または弁護士法人)の預り金口座を指定し,弁護士報酬等を差し引いて依頼者の方にお返しします。

弁護士報酬等を差し引いた後の残額は依頼者の方の金銭ですので,そのまま依頼者の方にお返しする必要があり,法律事務所の経費等として流用することは許されません。

 

では,代理人に預けていた金銭を流用され,返還を受けられなくなった場合,法律的にはどうなるのでしょうか。

消費者金融等は,代理人である弁護士により締結された和解契約に基づき,その和解契約で指定された銀行口座に過払金を返還していますので,消費者金融等の過払金返還債務はそれにより消滅しています。つまり,消費者金融等に対しあらためて過払金の支払を請求することはできません。

となると,流用した弁護士に対して不動利得返還請求ないし損害賠償請求をするしかありませんが,その弁護士に資力がない場合は,事実上,返還を受けることは困難になります。

 

弁護士は依頼者の方の金銭を預かることも多いですので,依頼者の方との信頼関係を維持することが重要となります。私は過払金返還請求事件も担当しておりますが,依頼者の方の不安,心配をできるだけ軽減するため,消費者金融等からの入金確認後,ただちに費用の精算を行い,入金から2~3営業日以内に,依頼者の方に指定いただいた口座にお返しすることを心がけております。

 

弁護士法人東京ミネルヴァ法律事務所に債務整理を依頼していた方について,同法人が所属している第一東京弁護士会は相談窓口を設置していますが,弁護士法人心でもご相談を承っており,平日夜間,土日のご相談も可能ですので,お気軽にご相談いただければと思います。

緊急事態宣言

1 私が所属している柏駅法律事務所がある千葉県や東京都では,4月7日に緊急事態宣言が発令されましたが,それに伴い,5月の連休までに指定されていた千葉地方裁判所および千葉家庭裁判所(それぞれ支部も含みます)のほとんどの期日(裁判や調停など)が取り消されました。

その後,東京都や千葉県では5月31日まで緊急事態宣言が延長されましたので(なおご承知のとおり25日解除されました),千葉地方裁判所や千葉家庭裁判所の期日も5月29日の分まで取り消されました。

私は4月6日に債権者集会に出席するため千葉地方裁判所松戸支部に行きましたが(この日は出席者全員がマスクをし,部屋の窓は全開に近い状態でした),それ以降,本日に至るまで,松戸の裁判所には行っていません。6月8日に債権者集会に出席するため久しぶりに松戸の裁判所に行く予定です。

緊急事態宣言により,裁判所の業務も縮小していたようで,裁判所の職員も出勤日数を減らしていたようです。私も4月から5月にかけて少額管財の破産を数件申し立てましたが,いずれの案件も本日現在開始決定は出ていません(ただし,財産保全の必要性があるなど緊急性の高い破産の案件は開始決定が出ているようです)。

また,4月中に既に書面決議期間が満了している個人再生の案件も,まだ再生計画認可決定は届いていません。

裁判所の業務停滞は,国民の権利保護にも影響を与えますので,これを機に対策が進むことを期待しています。

2 緊急事態宣言により,消費者金融やクレジット会社も業務を縮小しており,返済が遅れた場合の督促も厳しくなかったと聞いていますが,今後は通常業務に戻りますので,緊急事態宣言前の状態に戻ると思います。

消費者金融やクレジット会社から借り入れがある方で,新型コロナウイルスの影響で給料が下がったり,または失業してしまった場合,今後の返済をどうするかということを検討する必要があります。

債務整理には,業者と個別に交渉して返済条件を変更する任意整理や,裁判所で行われる個人再生,自己破産がありますが,新型コロナウイルスによる給料の減少や失業が一時的かどうかによっても手続の選択は変わってきます。

私が所属する弁護士法人心では,新型コロナウイルスによる収入減少等により借入金等の返済が困難になった方のご相談に対応するため,債務整理担当の弁護士を増強しております。お気軽にご相談いただければと思います。

借入金,クレジットカードの返済が困難になった方へ

⑴ 新型コロナウイルスの影響により収入が減ったため借入金やクレジットカードの返済が厳しくなり,債務整理の相談を希望されている方も増えているかと思います。

しかしながら,当法人柏駅法律事務所がある柏市等を業務範囲とする日本司法支援センター法テラス松戸では,非常事態宣言の発令にあわせて無料法律相談の配点を当面ストップするとのことであり,法テラスの民事法律扶助を利用して債務整理を行うためには,法テラスの民事法律扶助を取り扱っている弁護士に皆様が直接相談し,申し込みを行う必要があります。

当法人柏駅法律事務所では,民事法律扶助を利用した債務整理のご依頼を承っておりますので,お気軽にご相談いただければと思います。

以下では,債務整理の手段について,簡単にご説明します。

⑵ 新型コロナウイルスの影響で収入が減少したものの,それ以上の減少は見込まれず,返済に充てる余裕額がある場合は,任意整理または個人再生を検討いただくことになります。

任意整理は,消費者金融会社やクレジットカード会社と各別に交渉し,返済の条件を変更するものです。通常は,現在の残高を36~60回分割(業者によっては60回を超える回数での合意も可能です)で返済するという内容になり,将来利息は免除(0%)になります。任意整理を行うと,通常は,月々の返済額はある程度減ります。

任意整理を行った場合に想定される月々の返済額でも返済が厳しいと予想される場合は,個人再生を検討します。個人再生は裁判所で行われる手続ですが,法律の規定にしたがって減額された債務を原則36回(3年間),最長60回(5年間)で返済すれば,残額は免除されます。

例えば,負債が360万円で,預金等を合わせた財産が50万円の場合,100万円(小規模個人再生の場合)を3年間から5年間で返済することとなりますので,月々の返済額は1万7000円程度から2万8000円程度になります。任意整理の場合は,360万円の60回(5年間)払いでも月々6万円の返済になります。

⑶ 新型コロナウイルスの影響で収入が激減し,返済に充てられる金額を捻出できない方,および,今は返済に充てられる金額を捻出できても今後さらに収入の減少が見込まれ,近い将来捻出できなくなる可能性がある方は,自己破産を検討してください。

自己破産を行い,免責を許可する決定が確定すれば,税金等の非免責債権(破産してもなくならない負債)を除き,返済義務が免除されます。返済義務が免除されれば,負債について悩む必要がなくなりますので,仕事や生活の再建に注力することができます。

弁護士に債務整理を依頼すれば,消費者金融等からの催促がストップしますので,お気軽に当法人までご相談いただければと思います。

任意整理の動向

個人の方の債務整理には,主要な手段として自己破産,個人再生,任意整理があります。このうち,自己破産と個人再生は裁判所で行われる手続になり,任意整理は対象となる貸金業者またはクレジットカード会社と弁護士が個別に交渉を行う手続きとなります。

自己破産と個人再生は,手続について法律に規定があり,また各地方裁判所での実務(例えば自己破産手続における自由財産の拡張についての実際の取扱いや,同時廃止と管財事件の振り分けなど)についてもある程度明確になっていますので,その手続を採用した場合の結果について予測することは比較的容易です。
もちろん,小規模個人再生の場合に,どの債権者が再生計画案に反対するのかについてはやや不明な点はありますが,反対しない債権者がほとんどであり,反対する可能性が高い債権者についてはある程度ネット上に情報が出ています。そのため,債権者の反対により再生計画案が認可されないおそれがある場合は,給与所得者等再生または自己破産を選択することができます。

しかし,任意整理の場合,業者毎に個別に交渉しますので,任意整理についての業者の扱いに変更があった場合には,任意整理後の返済額が当初の想定より多くなる場合があります。ここ数年でも,任意整理による返済回数の上限を60回(5年間)に変更したクレジット会社がありましたし(それ以前は60回を超える回数での合意が可能でした),最近では,それまで84回払いで合意ができていたクレジット会社について,72回までと言われるようになりました。
例えば,負債額が100万円の場合,84回払いですと月々約1万2000円の返済となりますが,72回払いですと月々約1万3900円となります。

それほど差はないのではないかと思われるかもしれませんが,例えばクレジットで購入した自動車があり,生活に自動車が不可欠な場合,自己破産や個人再生を選択すると所有権留保条項により自動車はクレジット会社によって引き揚げられますので,自動車をどうしても残したいという場合は,任意整理を選択するしかありません。そのような場合,任意整理後の返済もギリギリであることがあり,1000円,2000円の違いが大きく影響します(なお,任意整理を行っても返済が難しいという場合は,私は任意整理での受任はお断りしています。)。
家族に借金や債務整理について知られたくないため任意整理を選択する場合も同様です。

最近は任意整理についての業者側の対応も厳しくなっていると感じることが多くなっていますので,相談者の方の収支状況からみて,厳しめの条件を前提として想定される任意整理後の返済額だと返済が厳しいと判断される場合は,任意整理での受任をお断りさせていただくことも増えるかと思います。

 

相続放棄について

1 相続放棄をする理由として典型的なのは,死亡した被相続人に多額の負債がある,というものです。

被相続人が死亡した後,財布の中を見ると,消費者金融へ返済した際のATMの明細が入っていたため,借金の存在が判明した,ということはよくあります。

借金があることが判明すると,急いで相続放棄の手続をしたくなるのではないかと思いますが,消費者金融やクレジットカード会社について負債がある場合は,一度弁護士に相談することをお勧めします。

というのも,消費者金融やクレジットカード会社は,かつて利息制限法の上限利率を超える約定利率で貸付を行っており,利息を払いすぎて過払になっている可能性があるからです。

仮に,約定利率を前提とした債務(約定残債務といいます)が100万円を超えていても,利息制限法の上限利率に引き直して計算すると,約定残債務がゼロになり,数百万円の過払い金が発生していたということも珍しくはありません。

また,被相続人が利息制限法の上限利率を超える利率で借り入れを行い,完済していた場合,引き直し計算をすれば確実に過払いが発生しています。

過払い金が発生している場合,消滅時効期間が経過していなければ,相続人は消費者金融業者等に対し,過払い金の返還を請求することができます。

弁護士にご依頼いただければ,弁護士は,被相続人の方が取引していた可能性のある業者について取引の有無や,過払い金発生の有無を調査することができます。

なお,取引の有無の調査や過払い金発生の有無の調査は,法定単純承認事由ではありませんので(法定単純承認事由とは,相続を承認したものとみなされる事実のことをいいます。例えば,被相続人の預金を引き出して自分の生活費に充てたような場合です。),調査の結果,過払金はなく負債が残っていたとしても,相続放棄は問題なく可能です。

2 相続放棄をする理由について,被相続人に負債がないとできないと誤解されている方もいらっしゃいます。

しかし,相続放棄は,例えば特定の相続人に相続財産を相続させるために行うことも可能ですし,単に相続手続きに関わりたくないからという理由で行うことも可能です。

弁護士法人心には相続放棄手続の経験が豊富な弁護士が所属していますので,お気軽にご相談ください。

放置 ダメ ゼッタイ

最近はArkadiaをヘビロテしてます!

東京簡易裁判所の民事の期日には,貸金業者等による訴訟の期日が多数入っています。私も東京簡易裁判所が管轄となっている過払金返還請求訴訟等で時々東京簡易裁判所に出廷しますが,私の案件が始まるまで,傍聴席で貸金業者等による訴訟を多数傍聴することになるのが通常です。期日が10時30分に設定されていても,呼ばれるのは11時過ぎ,ということもあります。
なお,一時期は簡易裁判所で多数の過払金返還訴訟の期日が行われていましたが,今では東京簡易裁判所でもほとんど見ません。

東京簡易裁判所の傍聴席で貸金業者等による訴訟(貸金返還請求訴訟等)を見ていると,被告,つまりお金を借りた側が出頭していないケースもよく見かけます。答弁書も提出しないまま出頭もしないと,第1回目の期日で審理は終了となり,通常は1週間後に判決が言い渡されることになります。
判決が確定すると強制執行が可能になりますので(判決に仮執行宣言が付されている場合は確定前でも可能です),訴訟を起こした貸金業者等が被告(借主)の勤務先を把握している場合は,給料を差し押さえることが可能になります。

給料を差し押さえられた場合,その差押えから逃れるためには,①遅延損害金等を含めた全額を返済する,②自己破産または個人再生を行う,③勤務先を退職する,という方法が考えられますが,③は非現実的で,①も親族等の援助がなければ通常は困難です。

とすると,②を選択するということになりますが,自己破産も個人再生も費用が必要となりますので,給料が差し押さえられた状態だと,その準備に時間がかかることになります。費用の準備に時間がかかると,なかなか申立てをすることができず,差押えをされた状態が継続することになります。

返済が困難になった場合は,すぐに弁護士に相談することが重要ですが,相談しないまま延滞を継続していた場合でも,訴訟を起こされた場合は直ちに弁護士に相談しましょう。弁護士に自己破産等を委任し,弁護士から受任通知を業者に対して送付すれば,提起された訴訟についてその後に判決が出たとしても,直ちに給料等を差押えらえることはまずありません。とくに自己破産の場合,弁護士からその旨の通知を受けた後に給料を差し押さえると,その差押えにより返済を受けた金額について破産手続において破産管財人によって否認されることがあり,そうなると業者は返済を受けた金額を破産財団に戻さなければならなくなります。

裁判所から届いた書類を放置することは ダメ ゼッタイ です。